Column.夢コラム[001]
『得意なこと』×『介護』は、
人を笑顔にする素晴らしい可能性

Q.先生の専門分野・担当授業の内容を教えてください。

介護福祉科の教師として、複数の教科を担当しています。そのうちの一つとして、生活支援技術という教科があり、その名の通り介護を必要とする人の生活(食事・更衣・移動・入浴・排泄など)の支援を指導しています。例えば、「移動」という項目では、ベッドから車椅子への移乗から車椅子の操作方法など、技術的なことを中心に病気や状態に合わせて支援するための知識も学ぶことが出来ます。

授業中の指導の様子

Q.介護の仕事を目指したきっかけは何だったんですか?

元々、秋田県の能代工業高校というところで、建築の勉強をしていたんです。黙々と製図を書いていたんですけど、「人と関わる仕事がしたい」と漠然な思いが生まれてきました。また、バスケットボールが有名な高校だったので、車いすバスケットボールの選手のイベントが開催され、その時に障害のある方と初めて関わることになりました。今思うと、それもきっかけの一つだったと思います。
高校で専門学校の先生が説明会を開催していて、興味があった介護のことについて聞いてみようと行ってみました。そこで説明をしてくれた先生の人柄に引かれて、入学を決めました。

Q.秋田から仙台の専門学校へ行こうと思った理由は何だったんですか?

正直、仙台って東北では都会だし、一人暮らしがしてみたかったんですよね(笑)。ただ、秋田は雪深くて通学も不便ですし、説明会時の校風に引かれていたので、仙台の専門学校に通いたいと強く思いました。そんな理由でしたが、専門学校で学んだことや仕事で高齢者とそのご家族と関わるうちに、介護の楽しさや奥深さを知りることができました。今では、とてもやりがいのある仕事だと感じています。

東北保健医療専門学校では、iPadを使った授業を実施している

Q.専門学校の講師になるきっかけは何だったんですか?

卒業して約10年間、介護老人福祉施設で働いていました。その施設では専門学校生の実習の受け入れをしていて、その時に出会った担当の先生に誘われたんです。やっぱり、若い子に指導をすると、新しい発見があって楽しいんですよね。業務をこなすうちに固定概念ができてしまうのですが、それを壊すような新しい視点やひらめきをくれるので面白いです。介護福祉の分野で、別の視点から役に立ちたいと思い、講師を引き受けました。

Q.学生に教えるうえで、心がけていることや大切にしていることを教えてください。

全ての教科で共通していることとして、高齢者や障害者の人のプラスの面に注目して支援方法を考えるように伝えています。できないことを補うだけの介護ではなく、できることを活用してほしい。また、私の授業では自分で考える力を養うため、講義の中に学生が自由に考え発表する時間も設けるようにしています。基本としてやらなければいけないことはありますが、生活の中には正解と不正解だと分けられないことも絶対あるんですよね。単に意見を否定するのではなく、一旦受け入れることで、多様な考えがあるという事を学ぶ機会としてほしいと思っています。

実習の指導の時は作業着に着替えて、スイッチを切り替える

Q.教員になってから、印象に残っているエピソードがあれば教えてください。

卒業して介護福祉士として働いている教え子と、外部研修で一緒になったことがあります。まだ卒業して数ヶ月しか立っていないのですが、顔つきがたくましくなっていたのにはびっくりしました。別のチームだったのですが、経験した上での発言には厚みがあり、同じ職種として立派に活動している姿を感じて、驚かされました。

Q.これからこの専門学校を目指す高校生にアドバイスがあればお願いします。

介護福祉士の仕事は多岐にわたり、支援の方法は誰にでも当てはまるような正解がありません。そのため、自分の趣味や特技、性格や人柄、これまでマイナス面だと思っていたことなども支援方法の一つになることがあります。
例えば、僕は写真が好きで、よく敬老会などのイベント時の写真をまとめてプレゼントしたりしていました。漫画を描くのが得意な後輩は、似顔絵をプレゼントして、とても喜ばれていました。勉強や生活する上で役に立たない、と思われているようなことでも『×介護』にすることで、人を笑顔にする素晴らしい可能性になるんです。
それに、僕はそんなに話をするのが得意じゃなくて…「コミュニケーションが苦手だから向いていない」と言う生徒がいますが、ベラベラ話すよりもしっかり聞くほうが高齢者の方も安心します。そんな風に自分の可能性や魅力をぜひ発見して、自分なりの介護(支援)ができるようにがんばってください。

Profile.
若い子に指導をすると、新しい発見があって楽しいです。単に意見を否定するのではなく、一旦受け入れることで、多様な考えがあるという事を学ぶ機会としてほしいです。
東北保健医療専門学校
野呂勇介(ノロユウスケ)先生
介護福祉科